意識低い系社会人のあわよくば

日々疲弊している20代社会人の生活、趣味について

星の花が降るころに

学生時代、塾のアルバイトで記憶に残ってる教材が『星の花が降るころに』。中1の国語の教科書にのってたと思う。光村教科書でしか読めない描きおろし。


[あらすじ]
中学生のナツミには小学生からの親友の女の子がいた。しかしささいなことからすれ違い、関係は悪化してしまう。そのまま夏休みに入り、顔を合わすこともないため、更に溝は深まってしまう。新学期、ナツミは仲直りをしようと思うがなかなか決心がつかない。同じく小学生からの知り合いであるサッカー部の戸部くんはそんな事情を知ってか知らずか、ナツミに冗談を言う。ナツミはくだらないと思いつつもなぜかその冗談に笑ってしまった。かつて親友と一緒に歩いた銀杏並木。銀杏は枯れ落ち足元に散らばっている。上を見上げるとまた新しい銀杏がなっている。ナツミはそれをみて新しい一歩を踏み出そうとする。


たしかこんなところだったろうか。

銀杏がナツミの人間関係のメタファーになっており、新しい環境には新しい人間関係があり、いつまでも過去の人間関係に固執していてはいけない、ということを示しているのだろう。

ナツミが親友と仲直り出来たかどうかはわからないが、新しい一歩を踏み出すのだろう。

何故この話が記憶に残ってるのか。それはナツミにちょっかいをかける戸部くんの存在だ。
彼はナツミと小学生からの知り合いらしい。そして落ち込んでいるように見えるナツミに対して、「あたかも、を使って短文作れって宿題なんだけど、、、あ分かった。ナツミは俺のことイケメンと思ったことがあたかもしれない」と質の低い冗談をかます。ナツミはこれに対して笑ってしまうのだ。

多分戸部くんはナツミとその親友の仲が悪化していることを知っていたのではないか。そこで元気のないナツミを冗談を使って励ますことで仲直りに手を貸したのではないか。
何故戸部くんがナツミの様子に異変を感じ励まそうとしたのか。それはナツミのことが好きだったからだろう。

完全に想像、いや妄想である。

そこらにいる女の扱いに慣れたイケメンなら、上手に励まし後に二人は付き合うことになるのだろう。しかし戸部くんはそういうタイプじゃない。容姿については書かれてないが、おそらく坊主頭、年相応のニキビ面、そして身長は低めだろう。更に付け加えるなら登下校のカバンはエナメルバッグ、ひたむきに部活に打ち込む。サッカー部ということだが同じくサッカー部の僕から言わせればこのタイプのポジションはディフェンスライン、身長低いので多分SB。左ね。長友のポジション。でもレギュラーじゃない。

冗談でしか女の子を励ませないあたり、心優しい一面があるが不器用な性格と言える。


そして僕はそういった手合いの恋愛はうまくいかないということを知っている。それはいつだかのアメトーークケンドーコバヤシが言っていた。


「女ってのはろくでもない。女について研究するため少女漫画を読み込んだ。すると共通点を発見できた。主人公の女の子には想い人がいて、それとは別に主人公のことを想う男の子がいる。そういう男の子はとても優しくいい奴だけど、けしてイケメンではない。主人公の心を射止めるのは決まってちょっと意地悪でSな先輩。イケメンじゃないけど優しいという連中の恋はうまくいかない。だから女は嫌いだ。」

とのこと。戸部くんはケンドーコバヤシの言うけしてイケメンではないが優しいやつ、なのだ。

ケンコバの少女漫画理論で言えば、ナツミの心を射止めるのは、この話には登場していないちょっと意地悪な先輩ということになる。大抵の男は戸部くんタイプだ。だからこそこの妄想の結末に切なくなる。

指導要領とは関係ないところで感情移入してしまい、勝手に妄想し、だからこそ心に響く物語であった。

女に対して意地悪でSなイケメン、そんな奴いたら嫌味な奴としか思えない。

戸部くん!頑張れ‼